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読書メモ、ゲームメモ。

読書や映画、そしてゲームのあれこれを、書き留めていってます。
by maruharoco
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セツの火 その3

さて、こちらもGW前の話ですが、終りました。セツの火。
セツの火 その3_d0034608_23184722.jpg

ちなみに、このブログは、割とネタバレには拘らずに書いてます。

念のため、先に断っておきますが、
今回は、ネタバレ分多目かもしれません。あしからず。

終ってみての感想としては、面白かったかなぁ。うん。
お話は、後述しますが、中々良かったと思いますし、
音楽も、映画音楽のような感じで、
フレーズが自己主張する感じではないですが、
良かったと思います。

苦言を呈すところは、グラフィックの、枚数かなぁ。
戦闘が、毎回同じ画像ですし、セリフでは、1匹なのに、
2匹いたりするとかあって、そこら辺は、次への課題なのでしょうか。

脚本・監督の、遠藤 正二朗 さんのゲームは久しぶりで、
うれしかったです。

ところで、この作品は、デジタイズドラマと、銘打っています。
選択肢の無い、フルボイスの、ノベル物のゲームといった感じです。

インタラクティブな部分がほとんど無いので、
ゲームといっていいのか?微妙ですが。
個人的には、ゲームのカテゴリーでいいと思います。

同じような試みは、キネティックノベル 等もしていますが、
デジタイズドラマというジャンルが、有りかどうかは、
此の際置いておきますが、セツの火 の特徴的なところとしては、

①選択肢は無く、ドラマの様な数話の構成になっていて、
 各話毎に、OPと、次回予告がある。

②文章的に三人称を使っている。

③基本的にオートでの進行を推奨していて、手動で読み進めても
 演出上の間があったり、文字の無く、音声のみの所もある。

と、いったところでしょうか。

①につおいては、いわゆる遠藤作品としては、おなじみなので、
特に違和感とか無かったですね。

ただ、各話の話の尺が、結構長くて、もう少し短くして、
30分~1時間の構成の、13話から、24話の構成にしてほしかったかな。

若干、お話が長く感じる部分があったのと、
学校という舞台で、1年くらいの時間が流れるのに、
夏休みなどのイベントが端折ってあって、少しもったいないかな。
とか、思ったりしました。
もっとも、そこは、あえて、そうしたのかもしれませんが。

②は、ゲームでは結構珍しいかもしれませんね。
最近のADVの文章は、ぶっちゃけ、ラノベそのものなので、
そういう意味では、読む人を選ぶかもしれません。

あと、バストアップのキャラクターが、画面上に、いるのにもかかわらず、
誰が喋っているのかわかりずらい所もあるので、少し気になりました。

③は、どうでしょう。個人的には、ノベル物と解釈していたので、
文章の先送りが無かったり、タイミングが、 ずれたりするとか、
そういうところが気になったかなぁ。

ただ、デジタイズドラマ、ですので、読ませる、というより、
観せる、というところに、拘っているようには、感じました。

まあ、なんにしろ、世の中には、絵の無いゲームがあったり、
CGポートレートもあったりするので、
選択肢は無くても良いですよね。(笑)

あと、このゲームをプレイしている間に、
世の中では色々な事件があり、ゲーム内の描写に、生々しさを、
感じるところもありました。

ひとつは、アメリカの、銃乱射事件と、長崎の銃による襲撃事件。

劇中で、鬼化けによる事件が頻発するようになっていって、
政府は各地で事件が頻発していると、隠蔽しますが。
これが、妙にタイムリーで、変にリアリティーを感じました。

ホント、嫌な世の中ですよね。

もうひとつは、事件そのものは発売前に起こったものですが、
豪華客船密航事件、でしょうか。

40歳のフリーターの男が、豪華客船に密航、
という事件は聞いていましたが、その後、その男が、

かつて、17歳でゲームを作り始め、
サバッシュ、エメラルドドラゴン等を作り、
25歳でグローディアの社長になった、
池亀 治 さんだと知ったときは、ほんとに仰天しました。

ずっと名前を聞きませんでしたが、まさか、あんな事になるなんて。

劇中、繰り返し、生きるためにはしぶとく抗い続けなければいけない、
足掻き続けなければいけない、というテーマが繰り返されますが、
なんだか、ゲーム業界の厳しさが身にしみて、
これまた、妙に生々しい感じがいたしました。(笑)

お話の終盤の感じとしては、
再び、鬼の日が訪れ、鬼化けする可能性のある人間は、
全員シェルターから出る事が決まり、
混乱が起こりつつも、推薦組以外は、退避を始める。

それと時を同じくして、とある事情で現れた、辺りの鬼を率いる、人鬼、
セツの火 その3_d0034608_010585.jpg

(さすがにネタバレなので、仮に、究極日本人と呼びます(笑)。)
と、刹たち、鬼殺したちとの、壮絶な決戦が始まります。

今までの鬼たちとは比べ物にならないほどの強力な力と、
作戦を立て鬼を率いるほどの知能を持った、究極日本人でしたが、
色々あって、最後には倒れます。

最後のシーンは結構好きでした。

ところで、この作品は、漫画で言えば、デビルマンや、漂流教室、
最近の作品で言えば、彼岸島や、7SEEDSのように、
人々は理性や、人としての形を失ったり、
崩壊する世界を描いてますが、この作品の、興味深いところは、
2つあって、ひとつには、崩壊する要因が、あいまいなところです。

設定では、劣界毒素と呼ばれる成分が、大気中にあふれ、
人間が、どんどん理性を失った鬼になっていってしまいます。

これが曲者で、全世界的に、空気を介して発祥するのですが、
浄化もできなければ、遮断する方法もありません。

しかも、裏設定はあるかもしれませんが、
一部の抗体保持者以外、誰しもが、一生鬼化けしないかも知れないが、
次の瞬間には鬼化けするかもしれない、という、
基準があいまいな災厄となっているところです。

ゾンビや吸血鬼のように、退治する事もできず、
世界そのものが滅んでいるわけでは無いため、
生き残っている人間も沢山いるが、いつ鬼化けするかわからない。

というような、むしろ、大地震が群発する、
災害モノのような、なす術の無さが、ここにはあります。

原因をなくす事もできず、さりとて、鬼になりそうな人間全てを、
抹殺する事も、やり様が無い。そんな、もどかしい感じです。

もうひとつ思ったのが、こういった作品では珍しく、
基本的に、性善説によって、人間が描かれているところでしょうか。

こういう舞台設定だと、追い詰められた人たちが、
疑心暗鬼に刈られたり、弱さから脱落したりするものですが、

人々は最後まで、ギリギリ、人類の未来を信じて抗い続けます。

決して、俺は鬼になったが、お前たちは心が鬼になった!とか、
よし、鬼化けする人間は差別し、排除しよう!とか、
そういった、人間の醜い行動はおこらないところが、
全体的に、救いのあるお話になっているとは思います。

だから最終的に、主人公たちの物語は、
まるで、ファンタシースター2 のような幕引きを迎えますが、
印象はそれほど、暗澹としたものではないですし、

物語の結びも、見ている人間に判断をゆだねる形で終っていますが、
個人的には、少なくとも全滅しているような印象は受けませんでした。

あと、最後の最後に、なんか、不安を誘うようなカットも入りませんしね。

結局、物語は、設定的には何も解決しないまま終りますが、
ヒーロー物でも、ホラー物でもないため、
これでよかったかな、と、思いました。

未来に希望をつないだ、という事でしょうか。

また、ずいぶんと、感想をつらつらと書き綴ってしまいましたが。
次回作も期待してますので、このシーンを載せて、最後に、
これを作ったスタッフの方々には、次に向けて、
セツの火 その3_d0034608_122216.jpg

がんばれ!
と、エールを、かげながら遅らせていただきます。


撃墜数4つ目。これで、エース!(笑)   ☆☆☆☆

by maruharoco | 2007-05-12 22:16 | ゲーム メモ
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